今こそ、ベビーローライ

オークションサイトで海外から入手したベビーローライ。本当は色がブラックのものにより惹かれてた。でも、戦後のブラックモデルは生産台数が少ないらしく、値段がえらく高い。ざっとグレイベビーの倍ぐらい。機能面ではほとんど変わらなそうなので、色違いで倍の値段というのは、さすがにためらった。まずは入手しやすい「グレイベビー」を探してみることにした。

 「５万円以内」という自分の基準の範囲内でいろいろと見ていたら、整備済みかつ付属品が多いものがあった。幾らか値引き交渉をした上で購入することにした。

 そしてやってきたベビーローライ。6x6サイズのローライフレックスに慣れた身からすると、ほんとに小さい！軽い！数字上で大きさや重さがどれぐらいなのかと調べてはいたけど、実際に手に取ったときのサイズ感と重さの違いは想像以上だった。この差は、データや写真ではなかなかつかみづらいと思う。

実物を見てみると、このグレーという色（実際には、緑がかった灰色、といった感じの不思議な色合い）も悪くない。ローライフレックスと比べたら作りがちゃちに感じられるところもあるのは確か。でも、この小ささ、軽さはちょっと感動的だ。部屋の中でカメラのフードをあげて上からスクリーンを覗いてみた。これを使うのは相当楽しそうだと、確信のような気持ちが湧いてきた。

 ただ、このカメラを楽しむにはひとつハードルがある。それは、127フィルム（ベスト判とも呼ばれる）といういまではほとんど見かけないフィルムが必要なこと。これにより、ローライフレックスの6x6cmよりもふた回りほど小さな4x4cm という真四角写真が撮れる。この127フィルムの入手経路がかなり限られているというのが、ベビーローライに常に付いてまわる宿命だ。10年ぐらい前に自分が二眼レフを入手した際、ベビーローライを候補から外したのもこれが大きな理由のひとつだった。

 でも、今はあまり心配しなくて大丈夫。かわうそ商店という北海道のお店が、127フィルムでモノクロネガやカラーのリバーサルを販売してくれている。僕が購入したベビーローライは付属品として未使用フィルムが何本か同封されてきたのだけど、そのうち1本は何と、かわうそ商店さんのものだった。これには驚いた。

kawauso.biz

 世界で127フィルムを作り続けているところは、もうほとんどないらしい。わざわざ日本から、フィルムを取り寄せていたということだろう。そう、日本はいま、127フィルム入手という点で、世界でいちばんベビーローライが使いやすい環境にあると言える。

 もうひとつ書いておきたいのが、フィルムの値段の話。かわうそ商店さんで販売されている127フィルムは、一番安価なモノクロネガフィルムが送料込みで1本1200円。これは高いと感じるかもしれない。実際、自分も高いと思う。ただ、この10年ほど、35mmフィルムも120のブローニーフィルムも高騰の一途をたどっている。今では、モノクロの120フィルムも1本で800-1000円位はする。何とも悲しいことだけど。（下の写真は右が120フィルム、左が127フィルム。結構大きさが違う）

 そう考えると実は、127のモノクロフィルムとの値段差はそこまで大きくない。かつての127フィルムの相場を知らないので推察になるけど、昔、127フィルムを海外から購入しなければならなかったような頃に比べたら、ブローニーとの値段差は小さくなってるのではないだろうか。

 値段と言えば、カメラ本体の値段のこともある。6x6サイズのローライフレックスの最終形である2.8Fや3.5Fは、10年ほど前と比べて値下がりどころか値段が上がってきているように感じる。一方、127フィルムは、日本を例外とすれば入手が世界的に困難になっているはずで、だとするとカメラ本体は値下がり傾向にあるのではないだろうか。冒頭で書いた「戦後ブラック」のように希少性が高いものは別として、戦後のグレイベビーは台数も豊富なようだし、ネットオークションなどを探していたときには割安な感じを受ける個体が一つならずあった。ベビーローライは昔の相場を知らないので、これもあくまで推測の域を出ないのだけど、少なくとも戦後のグレイベビーについては以前よりも値下がり傾向にあるのではないだろうか。

そんなことを自分に言い聞かせながら入手した訳なんだけど、つらつらと書いてきたことをまとめるとひと言、「ベビーローライは、今が買い時・使い時なのではないか」ということになる。

今こそ、ベビーローライ。